プロパンガス会社は、供給契約を締結した顧客の安全に配慮する義務を負っています。
保安業務と呼ばれるものですが、その主な内容のひとつに点検作業があります。点検作業は、いくつかに分けられているのですが、その中のひとつが「容器交換時等供給設備点検」です。
このページでは、容器交換時等供給設備点検について解説しています。
容器交換時等供給設備点検とは
液石法では、容器交換時等供給設備点検の内容について次のように定められています。
第三十六条第一項第一号の表イ(1)、ロ(1)、ハ(1)及びニ(1)に掲げる事項に係る点検及び第三十七条第一号の表ロ(1)に掲げる事項に係る調査を行う業務
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則 第二十九条(保安業務区分)
具体的な内容は下記に記載しますが、ボンベ交換時の点検は、液石法によって義務付けられているのです。
いつ容器交換時点検をするのか
プロパンガスは、ボンベから供給されていますので、定期的に交換しなければなりません。
一般的なガス使用量のお宅では、月に一度を目安に作業員がボンベ交換に訪れます。
容器交換時等供給設備点検とは、その名の通り「ボンベを交換する時」に行います。
つまりボンベの交換をする作業員が同時に点検も行っているのです。
なにを点検するのか
容器交換時点検で点検する項目は、液石法と補助法令により極めて細かく指定されています。
- 充填容器等の貯蔵設備
- マイコンメーター
- ガス管
- 圧力調整器
- 漏れがないかの点検
充填容器などの貯蔵設備とは、一般宅ではボンベを指しています。大型の集合住宅などでは、ボンベではなくバルクと呼ばれる大きなタンクが該当します。
容器交換時等供給設備点検では、宅外にある「ガスの供給設備」についてチェックします。供給開始時点検や定期点検で行う宅内の「消費設備」については、ボンベ交換の際にはチェックしません。
点検する内容
- ガス漏れをしていないか
- 火気など周りの設備と適切な距離を保っているか
- 転倒予防措置が取られているか
- 適切な温度を保たれているか
- ボンベが腐食するような状態でないか
容器交換時点検では、主に上記のような項目をチェックします。
ただこれらの多くは、供給開始時や定期点検において、すでに確認した上で供給されています。
ガス漏れ点検では、漏えい検査液と呼ばれる石鹸水のような液体、または検知器を使用して「間違いなく接続されているかどうか」を毎回確認します。
LPガス業界では、設備に関して自身で変更を加えた際には、ガス漏れがないかどうかをチェックするのが常識です。
その他、例えば地震や台風など自然災害のあとにボンベ回りに異常がないか、顧客が勝手に周辺に物を置くなど手を加えていないかなどが点検されます。
家の中に入らない・立ち合い不要・無料
容器交換時の点検は、屋外の供給設備をチェックしますので、家の中に入ることはありません。
従って顧客の立ち合いは不要です。
ボンベを配送するスタッフが交換作業と同時に目視で確認を行いそのまま終了となります。顧客側が何か対応しなければならないということはありません。
また基本的にガス会社側が行う点検は、すべて無料です。容器交換時点検に関しても当然、費用はかかりません。
問題があったら
容器交換時点検でチェックするのは「供給設備」、つまりガス会社の持ち物となる設備です。
顧客が費用を伴う対応をしなければならないことにはなりません。ガス会社側が対処します。
ケースとしてあまり多くありませんが、それ以外の問題が見つかった場合には、担当者より口頭や書面でその旨のお知らせがあります。
物を動かすなど、顧客に了承を得なければならない作業がある際には、事前に確認があるでしょう。
点検は誰がするのか
点検作業については、誰でも良いということではなく、法令で資格について定められています。
液化石油ガス設備士、高圧ガス保安法第二十七条の二第三項の製造保安責任者免状若しくは同法第二十八条第一項の販売主任者免状の交付を受けている者、業務主任者の代理者の資格を有する者、第七十四条第一項に定める充てん作業者講習の課程を修了した者又は次項に定める要件に適合する者
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則 第三十六条の三 点検を行うことのできる者より抜粋
ボンベの交換作業は、契約を結んでいるガス会社の従業員のこともあれば、委託先のスタッフの可能性もあります。
どちらにしても、資格を持った作業員が法令に基づいて交換と点検を行っています。