LPガス配送効率化東京ガス・東京ガスリキッドHD(東京ガスの子会社)・アズビル・アズビル金門(アズビルの子会社)の4社は6月5日、LPガスの配送合理化を目的とした遠隔無線検針の実証を9月から共同で実施することを発表しました。
遠隔無線検針とは、長距離無線通信技術(LPWA)・モノのインターネット(IoT)・人工知能(AI)、この3つの最先端技術を利用したもので、実現すれば現状の係員での手動検針が無人で全自動化されることになります。夢のような話に聞こえる方もいるかもしれませんが、実は近い将来実現する可能性が極めて高いサービスなのです。

一般的にLPガス事業者は、一ヶ月に一度を目安に係員が手動で検針を行い、それまでのガス使用量を把握するのと同時に、その後の一ヶ月の使用量を予測してボンベの交換日時を決定しています。この作業には弱点があり、季節や使用人数・利用器具・生活パターンなどの顧客の情報をすべて正確に把握することは困難であるため、ボンベが空になってしまう「ガス切れ」を起こしてしまう可能性があります。また、ガス切れを防ぐためにボンベ内に十分なガスが残っていても交換を行うということも日常的に行われています。しかし、「人」が行う作業としてはこれが限界であるため、現状ではこれ以上のサービスを事業者に求めることは難しいでしょう。

このように行われている検針ですが、最新技術を取り入れることによって劇的に変わることになりそうです。
まず、遠隔通信装置を内蔵したアズビル金門の最新機種のメーターに変更することによって、事業者は事務所にいながらボンベ内にあるガス残量を知ることができるようになります。これはメーター自体を取り換えなくても、現状のメーターに外部装置を追加で取り付けることでも実現可能です。
ガスの残量を把握した事業者は、AI技術を使いそのお宅にとっての最適なボンベ交換日時を割り出します。当然ながらガス使用量は各家庭によって異なるため、最適な交換日時もそれぞれ異なります。人の作業で各家庭の交換日を割り出すことは非常に困難ですが、人工知能ではそれが可能になります。また、AIの技術を使うことによって、日時だけではなく配送ドライバーの最適な配送ルートを割り出すこともできるようになります。

この技術が実現することになれば、LPガス事業者の負担は大幅に減ることになります。皆さんへのガス料金にも良い影響があるかもしれません。
4社の実証は今年9月から一年間行われる予定で、問題がないと判断されたら事業化される見込みです。
既に他社でも同様の実験が進められているため、この技術が近い将来に実現する可能性は高いと言えるでしょう。
今回の高性能化によって恩恵を受けるのは事業者の方がメインですが、保安面での向上やガス料金の引き下げなど消費者側としても期待できることがあります。