一週間ルールプロパンガスの会社を乗り換えたことがある方でしたら経験済みかもしれませんが、プロパンガス会社を変更する場合、「申込書の記入」(旧事業者への解約通知)から「工事施工」(ボンベ・マイコンメーターの撤去と設置)まで、原則として1週間の日にちを空けることがルールとして事業者に義務付けられています。

プロパンガス業界の保安や適正化について定めている「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」(通称:液化石油ガス法または液石法)では、以下のように定めています。

<液石法施行規則第16条15の2号>
新たに一般消費者等に対し液化石油ガスを供給する場合において、当該一般消費者等に液化石油ガスを供給する他の液化石油ガス販売事業者の所有する供給設備が既に設置されるときには、一般消費者等から当該消費者石油ガス販売事業者に対して液化石油ガス販売契約の解除の申し出があってから相当期間が経過するまでは、当該供給設備を撤去しないこと。ただし、当該供給設備を撤去することについて当該液化石油ガス販売事業者の同意を得ているときは、この限りでない。

<液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の運用及び解釈の基準について>
相当期間については、供給設備を所有する液化石油ガス販売事業者の業務状況や一般消費者等との間の液化石油ガス料金等の精算手続きのために必要な期間等を総合的に勘案して判断するものとし、原則として一週間を基準とする。

例えば消費者が「今の会社を早く変更したいので、明日ボンベ交換して欲しい」という要望があったとしても、旧事業者の同意を得られた場合を除きできないのです。
逆に新事業者の方で「消費者の気が変わらないように、明日ボンベ交換を完了させてしまおう」ということも原則としてできません。

新事業者に対してのみではなく、顧客を失う側の旧事業者に対しても、以下のように定めています。

<液石法施行規則第16条第16号>
一般消費者等から液化石油ガス販売契約の解除の申し出があった場合において、当該一般消費者等から要求があった場合には、液化石油ガス販売事業者はその所有する供給設備を遅滞なく撤去すること。ただし、撤去が著しく困難である場合その他正当な事由があると認められる場合は、この限りでない。

<液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の運用及び解釈の基準について>
第16号中「遅滞なく」とは、・・・具体的には、当該販売事業者は原則として一週間以内にその所有する供給設備を撤去すべきである。

解約の通知を受けた旧事業者は、通知を受けてから一週間以内にボンベやメーターを撤去しなければならないのです。
多くのケースでは、撤去作業も新事業者が代行することになりますので、設置と撤去を新事業者が同時に行います。つまり、「申し込みと旧事業者への解約通知」を行った日から、「ボンベ・メーターの撤去と設置」までの日にちを、7日程度空ければ良いということになります。

この決まりは通称「一週間ルール」と呼ばれており、見方としては消費者保護、そして事業者による悪質な行為を防ぐために設けられている制度です。
制度としては、2001年の液石法の省令改正によって定められました。

LPガス一週間ルールが生まれた経緯

壊れる信頼この省令改正が施行される前まで、特に首都圏を中心として悪質な事業者や訪問販売を行うブローカー等による不法行為が横行していました。

例としては、

  • 新事業者(契約を獲得した側)が、旧事業者(契約を失う側)に無断で設備撤去が行われる。
    上述したように、契約書をもらった翌日に設備撤去を行うなど、消費者に契約が間違いないかどうか、考える猶予を与えないで撤去や設置を完了させてしまう行為。
  • 旧事業者が、消費者からの解約の申し出に応じない。または、設備撤去を意図的に遅らせる。
    わざと設備撤去を遅らせることによって、消費者にストレスを感じさせるなどした上で、引き止めを執拗に行う行為。消費者が「こんなに面倒なら、今のままでも良いか」という心理状態になることを狙ったもの。
  • 消費者が知らないうちに、情報が転売されたり、設備設置が行われてしまう。


法律による明確なルール決めがなされていなかったため、特に敵対関係にある事業者間での乗り換えに関しては、このようなトラブルが頻発していました。
ライフラインを担うガスサービスとしては、消費者が安心・安全に使用することができる環境を整えることが必須であり、省令改正はむしろ遅かったとも取ることができるでしょう。

またトラブルが頻発した要因として、特に2000年前後から関東圏内で、事業者間の顧客争奪が活発になったことが挙げられます。自社による訪問営業などはもちろんのこと、外部の委託会社を使っての営業活動が盛んになってきていたのです。

現在においてもプロパンガス業界では、訪問営業による顧客獲得が積極的に行われていますが、このような法律が定められたことにより消費者としても安心して事業者を乗り換えることができるようになっています。

プロパンガス事業者による引き止め行為

乗り換える際の手続きを明確に法制化することによって、基本的にはルールに沿ってスムースに作業が進行されるようになりました。
ただし、一部では「問題とも受け取れる行為」が未だに行われている状態で、それが旧事業者による「引き止め行為」です。

引き止め行為とは、上述した一週間の期間中に、顧客を失う側の旧事業者が「切り替えの阻止」を意図して顧客宅を訪れる行為のことです。簡単に言うと「解約しないでください」と旧事業者が引き止めに来るのです。

この引き止めに関しては、新事業者と旧事業者の関係値や、旧事業者の方針、地域性などによって温度感が異なるため、一概に断じることはできません。
旧事業者としては、顧客を失いたくないと考えるのは当然であるため、合法の範囲内で行われる引き止めであれば問題はないと思われます。
ただ、一部では強引な引き止めが行われるケースもあるため、消費者としては十分に注意する必要があるでしょう。

こうした引き止め行為が行われるのは、業界のいわば慣習とも言えるものですが、これはプロパンガスが「地域密着型のサービス」であるからこそ行われているものと考えられます。
例えば、携帯電話をdocomoからsoftbankへと変更する際、docomoの従業員が引き止めに来訪するということは到底考えられません。プロパンガスの場合には、ボンベから供給されるサービスであり、一定の頻度で従業員がボンベ交換のため顧客宅を訪れることから、消費者と事業者の距離が近いと言えるでしょう。消費者と事業者が対面するサービスであるからこそ、このような引き止め行為が慣習として行われているのです。

引き止めに対する対応

NO引き止め行為の是非については何とも言えませんが、あまりにもしつこい引き止め行為は、消費者の自由意思を阻害する行為であるため、問題ありだと言えるでしょう。

もしもお客様が「引き止めに応じる気持ちがない」状態であれば、「はっきりと明確に断る」ということがとても大切です。
明確に断る意思を伝えたにも関わらず、引き下がらない、再度訪問するような行為は法律に違反しています。そのようなことがあったら、警察や消費生活センターなどの公的機関に連絡する旨を伝えましょう。それでも引き下がらなかったら、実際に連絡することをお勧めします。
ただ、近年は情報社会であり、そこまで執拗な引き止めはほとんど見られないようです。万が一の場合には、そのような対処方法があることを覚えておきましょう。

消費者庁のホームページ
http://www.caa.go.jp/globalnavi/damage_a.html

それとは逆に、お客様の方で「条件によっては、引き止めに応じる意思」がある場合には、応じた場合の基本料金と従量単価などの条件を確認しましょう。よくある話として、新事業者の値段と同じにする、または従量単価を10円下げるなどの条件提示です。そうした条件を提示された場合には、「その金額がどのくらいの期間継続されるのか」をきちんと確認した上で判断することが大切です。

プロパンガス料金表ページ