プロパンガス会社の解説

日本では、数多くのプロパンガス会社が存在しています。以下にプロパンガス会社の数や特徴について詳しく説明します。

プロパンガスの基本情報

プロパンガスは、日本中で普及しているサービスです。

日本国土の95%に供給可能と言われており、高い汎用性が魅力。近年では、主に都市ガスが供給できないエリアを中心に利用されています。

  • 呼称:プロパンガスは、LPガスや液化石油ガスとも呼ばれます。
  • 原料:主にプロパンとブタンで構成されています。
  • 容器:一般家庭のプロパンガスは、主にボンベから供給され、定期的に交換する必要があります。
  • 利用場所: 家庭用の他、工業用やタクシーなど様々な場所で利用されています。
  • 熱量: 都市ガスよりも高い熱量を持ち、効率的な燃焼が可能です。飲食店など高い火力が求められる用途では、プロパンガスが好まれます。
  • 輸入: 大半を海外から輸入しています。そのためプロパンガス料金は、輸入価格や為替レートに大きな影響を受けます。
  • 環境への影響: 燃焼時の二酸化炭素排出量が少なく、環境に優しいとされています。
プロパンガスについてさらに詳しく知りたい方は
プロパンガスについて、さらに知識を深めたい方はプロパンガスの完全ガイドをご覧ください。

プロパンガスは、日本中で使用できるとても便利なサービスなのです。

プロパンガス会社の数

2024年時点で日本国内におけるプロパンガス会社の数は、約16000社とされています。

プロパンガス事業者数は、過去数十年で減少傾向にあります。2007年には24,622社あったものが、2016年には19,514社、2020年末時点では17,170社にまで激減しています。

この減少傾向は、後継者不足や市場競争の激化が主な要因とされています。

プロパンガス会社の数が減っている
プロパンガス会社は、日本全国で1.6万社以上あります。しかしプロパンガス会社の数は近年、急速に減少しています。
  • エネルギー自由化による競争激化
  • 一般家庭向け需要の減少
  • 都市ガスやオール電化の台頭
  • 後継者不足
主にこのような社会情勢の変化が要因です。

プロパンガスの特に家庭用用途は、市場規模が縮小しています。小規模のプロパンガス事業者が大企業に買収・合併される傾向にあります。

プロパンガス会社の分類

プロパンガス関連の販売会社は主に以下の3つに分類されます

  1. 元売り:原料を輸入し、成分調整を行った後、卸売り会社に販売
  2. 卸売り:元売りと小売りの間に位置し、販売調整などを行う
  3. 小売り:消費者に直接プロパンガスを販売する会社

日本国内のプロパンガス会社の大多数は小売業者であり、地域によって異なる料金体系やサービスを提供しています。

プロパンガス会社は、「ガスの仕入れ」「ボンベ交換」「ボンベ内のガスを補充」しています。すべてのガス会社がライバルではなく、特定のガス会社同士は協力関係にあります。

主要なプロパンガス会社

日本の主要プロパンガス会社には以下のようなものがあります。

  • 岩谷産業「推定販売量:1,376,000トン」
  • エネサンスホールディングス「推定販売量:635,000トン」
  • 日本瓦斯(ニチガス)「推定販売量:620,000トン」
  • 伊藤忠エネクス「推定販売量:569,000トン」
  • 東邦液化ガス「推定販売量:423,101トン」
  • JA(全国農業協同組合連合会)「推定販売量:410,000トン」
  • 大陽日酸「推定販売量:400,000トン」

プロパンガス会社は1万社以上あるので、これらはほんの一握りです。

プロパンガス料金の特徴と相場

プロパンガスは、料金に特徴があるサービスです。

地域による差額も大きいですが、同じ地域でもガス会社によって価格が全く違うこともあります。また同じガス会社の顧客であっても、適用される金額が異なることも一般的です。

  • 基本料金: 毎月固定で払う料金。プロパンガスの基本料金は、地域やガス会社によって異なります。参照:プロパンガスの基本料金とは
  • 従量料金: 使用量に応じた料金で、1㎥あたりの単価はガス会社が自由に設定できます。ガスをたくさん使うお宅は、単価の金額が重要です。
  • 相場: 北海道が最も高く、東北地方が続いています。平均価格が一番安いのは関東地方です。一般的に気温が低い地域や人口が少ない(ガス会社の競争が少ない)地域は、平均価格が上がる傾向にあります。
  • 自由料金制: ガス会社が独自に料金を設定できるため、料金に大きな差が生じることがあります。料金に対して法規制されていないことが特徴です。
  • 料金の見直し: 高いガス代に悩んでいる場合は、ガス会社の見直しを検討することが推奨されます。
プロパンガス料金について詳しくは
プロパンガス料金について、さらに知識を深めたい、料金を安く抑えたいと考えている方はプロパンガス料金を徹底解説をご覧ください。

プロパンガス利用者は、料金に注意が必要です。安く利用したいと考えている方は、慎重にガス会社を選ばなければなりません。

プロパンガスのメリットとデメリット

プロパンガスは、利便性が高く災害にも強い最強のエネルギーです。しかし一方で不透明な料金体系が問題視されるなど、デメリットもあります。

  • メリット: 燃焼効率が高く、災害時にも強い。
  • デメリット: 都市ガスに比べて料金が高くなる傾向がある。
  • 環境への配慮: 二酸化炭素排出量が少なく、クリーンなエネルギーとされる。
  • 供給の柔軟性: ガスボンベを配送・設置することで、全国どこでも供給可能。
  • 料金の変動: 自由料金制のため、料金が大きく異なることがある。特に集合住宅での料金が問題視されている。参照:集合住宅のプロパンガス料金

プロパンガスと都市ガス料金の比較は、別ページで詳しく解説しています。引越しなどでエネルギー選びをしている方はご覧ください。⇒プロパンガスと都市ガス料金を比較

プロパンガス会社の選び方

これから引越しする方など、ガス会社を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。

  • 料金比較: 各ガス会社の料金設定を比較し、安いガス会社を選ぶことが大切です。料金が継続するかどうかもポイント。
  • サービス内容: 料金だけでなく、サービス内容も確認することが重要。「電気とセットで割引」など、付帯サービスがあるガス会社も増えています。
  • 保安管理:ガス事故やガス漏れなどが発生した際の緊急時対応も考慮すべきです。プロパンガス事故数は減っていますが、万が一の際にしっかりと対応してもらえるガス会社を選びましょう。参照:プロパンガスの事故件数と安全対策
  • 契約条件: 契約時の条件、初期費用や制約期間の有無をしっかり確認する。
  • 口コミ: 他の利用者の口コミや評判を参考にする。
  • 距離制限: 契約は販売会社の最寄りの事業所から20km以内でなければならない。必ずしも好きなガス会社を選べるとは限りません。参照:LPガス事業者の保安義務と供給範囲

まず料金が第一のポイントになりますが、保安体制など安全面の考慮も必要です。ガス会社選びについては、こちらでも解説しています。⇒プロパンガス会社を賢く選ぶコツ

プロパンガス会社選びの制約

プロパンガスの小売事業は自由化されているので、本来であれば消費者は自由にガス会社を選ぶことができます。

ただ環境によっては、ガス会社を選べないことが多々あるので注意が必要です。

戸建住宅ではガス会社を選べるのが通常ですが、集合住宅では例外を除いてガス会社は建物で決まっています。参照:集合住宅のプロパンガス

またプロパンガス会社は、「卸売・小売」「ボンベ配送・補充」「緊急時対応の委任」などで各社が協力し合っています。

協力関係にあるガス会社同士では、乗り換えを受け付けていないこともあるなど、時にガス会社選びが制限されることがあります。参照:NG会社の解説

プロパンガス会社についてのQ&A

プロパンガス会社は、どのくらいの数があるのですか?

2024年の時点で、日本国内のプロパンガス事業者数は1万6千社以上あります。大手企業から個人単位で経営する零細企業まで、大小様々なプロパンガス会社があります。

プロパンガス会社の数は、なぜ多いのですか?

参入が比較的容易であることが理由として考えられます。必要な免許を所持し届出を行っていれば、小規模な会社でも小売事業を行うことができます。

プロパンガス会社の数は減っているのですか?

近年、プロパンガス業界では統廃合が進んでいます。かつては2万数千社ありましたが、現在では1万6千社程度にまで減っています。特に零細のプロパンガス会社が大手企業に合併や買収される事例が増えています。

プロパンガス会社数は、なぜ減っているのですか?

理由は様々ありますが「人口減少(顧客数の減少)」「競争激化」「後継者不足」が主な原因です。日本の人口が減っていること、都市ガスや電力が自由化されて競争が激しくなったこと、オール電化や都市ガスの普及が進んでいることが大きく影響しています。

プロパンガス会社には、どのような種類があるのですか?

大きく分けて「元売(原料を輸入して、ガスを精製する)」「卸売(元売企業から仕入れ、傘下の小売事業者に卸す)」「小売(消費者にプロパンガスを供給する)」の3つに分類されます。

プロパンガス会社の大手はどこですか?

プロパンガス業界の最大手は岩谷産業です。北海道から九州・沖縄まで日本全国にグループ会社が拠点を構えています。他にも住友商事や出光興産などが出資するエネサンスグループも全国でプロパンガスを供給しています。日本瓦斯(ニチガス)は、主に関東圏内を供給エリアにしており、高いシェアを誇っています。

プロパンガス会社は、大手の方が良いのですか?

会社規模が大きい方が保安体制などの面で安心できる可能性が高いでしょう。ただ料金に関しては、大手企業だから安いとは限りません。

小規模のプロパンガス会社を選ぶメリットはありますか?

小規模企業は、効率化が難しいため料金を安くしづらい環境にあります。また緊急時対応の面においても大企業の方が優れているでしょう。一般的には、小規模のプロパンガス会社と契約するメリットは少ないと考えられます。

プロパンガス会社を選ぶことはできるのですか?

お住まいの建物の形状(戸建か集合)や所有(持ち家か賃貸)によって異なります。基本的には戸建住宅はガス会社を選べますが、集合住宅ではガス会社を選べません。詳しくはプロパンガス物件の引越しガイドに記載しています。

戸建住宅でプロパンガス会社を変更するにはどうすればいいですか?

新しいガス会社に連絡し、切り替え手続きを依頼する必要があります。戸建住宅の乗り換え相談は、当社でも承っています。ガス会社選びにお困りの方はご相談ください。⇒問い合わせ

集合住宅では、絶対にプロパンガス会社を変更できないのですか?

物件の所有者の意思があれば、全戸一斉に変更することは可能です。オーナーや管理会社・管理組合などに相談しましょう。

著者:土勢育孝

この記事は、私が作成しました。

静岡県出身。エネルギー業界に10年以上携わり、特にプロパンガスや都市ガス、電力を専門にしています。またウェブサイトや記事も自身で作成します。ご意見や感想、指摘などありましたら、気軽にお寄せください。⇒著者情報

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