
アパートやマンションなど集合住宅にお住まいで、プロパンガスをご利用中の方は「ガス料金が高い」と不満に感じている方が多いかもしれません。
プロパンガスの料金は、都市ガスと比べて高いと言われていますが、実は一戸建て向けの料金ではそこまでの金額差はありません。
ところが、集合住宅のプロパンガス料金に関しては、非常に高く設定されているケースが多くあります。
その原因は、プロパンガス業界の慣習やアパート・マンションの設備と大きな関わりがあります。
プロパンガス供給の集合物件に引越しする方
集合住宅では一部屋ごとに別のガス会社を選択することは、例外を除きできません。
お引越し先建物がプロパンガス供給の方は、「すでに決まっているガス会社」で開栓の手続きとなりますのでご注意ください。
このページでは、主にアパートなど小型の集合住宅にお住まいの方に向けた内容を記載しています。大型の分譲マンションや70戸以上の巨大集合住宅にお住まいの方は、別ページもご覧ください。


一人暮らしの方
集合住宅に一人暮らしの方、またはこれから引越しする方は、別ページで一人暮らしのプロパンガスについて詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
目次
賃貸の集合住宅のプロパンガス

賃貸の集合住宅では、必ず建物の「持ち主」がいます。個人のオーナーであったり、法人の場合もあるでしょう。
集合住宅の場合、プロパンガスの事業者は、各部屋の入居者と供給契約を交わす前に持ち主(オーナー)と契約を締結することになります。
入居者はガス会社を選べない

アパートやマンションなど通常の集合住宅では、ガス会社とオーナーが一棟まとめて供給契約を交わしています。
また画像のように、いずれかの形で敷地内にプロパンガスを供給するための設備を設置して、そこから各部屋に供給しています。
小さい倉庫のようなボンベ庫、またはボンベがそのまま置かれている物件が一般的です。大きな建物では、バルクと呼ばれるタンクから供給されることもあります。
このような理由から、借主の方が一部屋ごとに違うガス会社を選ぶことができないようになっています。
ガス会社を選べる集合住宅
集合住宅でも、メゾネットタイプなど「ボンベが各部屋ごとに備え付けられている」物件では、オーナーの許諾さえあれば一部屋ごとにガス会社を変更することが可能です。
メゾネットタイプの物件や長屋など、横に連なっている建物が該当します。
ガス会社を選べるかどうかのポイントは、ボンベが各部屋ごとに専用で設置されているかどうかです。
該当する場合には、オーナーか管理会社へガス会社変更の許諾を得た上で当社へご連絡ください。
集合住宅はガス料金が高い

プロパンガス会社がオーナーと契約する際、本来であれば所有者が負担すべき建物の設備(給湯器やエアコンなど)を修繕・交換する費用を、ガス会社が負担するというサービスが頻繁に行われています。(すべての物件が該当する訳ではありません。)
プロパンガスの事業者としては、このようなサービスを提供することによって、少しでも多くの顧客を獲得したいという狙いがあります。
集合住宅への供給は、まとまった顧客数が確保できるため、事業者のメリットが大きいのです。
集合住宅のプロパンガス料金は、ガス会社がこのような設備費用の負担があることを加味した上で、料金設定を行います。
そのため集合住宅のプロパンガス料金は、高くなってしまう傾向にあるのです。
ただし、すべての集合住宅が「オーナーへ設備投資をしているからガス料金が高い」ということではありませんのでご注意ください。
集合住宅のプロパンガス料金は相場が高い
賃貸物件の入居者は「ガス会社を変更する決定権」を持っている訳ではありません。あくまでも決定権はオーナーが握っているため、ガス会社側としては「解約されてしまうリスク」というものが少ないのです。
そのため集合住宅のプロパンガス料金は、相場の金額自体が高いという側面があることも事実です。
設備投資を受けていない建物であったとしても、必要以上に高く設定されていることが多くあります。
アパートでは基本料金が高め・保証金を求められる
賃貸アパートのプロパンガスは、基本料金が2000円を超えることも珍しくありません。1㎥あたりの単価だけでなく、単価も高めに設定されることが多いのです。
さらに新たに入居する際、ガス会社によっては保証金を求められることもあるなど、小型の集合住宅では注意しなければならない点が複数あります。


集合住宅のLPガス料金は透明化が求められている
上述した通り集合住宅は、消費者がガス会社を選ぶことができません。
物理的な問題から集合住宅の入居者が「ガス会社を選ぶことができない」こと自体は、仕方がないことだと考えられます。ただ、非常に高い料金設定をしている事業者も多い上、入居者としては実質的にその料金を受け入れざるを得ない状況になってしまっています。
戸建住宅でも集合住宅でも平等な料金が適用される都市ガスと比べると、LPガス業界のこの仕組みは、消費者にとって不利であると考えられるのです。
LPガス事業を管轄する経済産業省・資源エネルギー庁では、このような業界の図式を問題視しています。
2023年5月には、集合住宅におけるLPガス料金の透明化に向けて、ガス会社に対し協力依頼が出されています。
集合住宅のプロパンガス平均料金と使用量(当社調べ)
基本料金:2059円(税別) | 1㎥あたりの単価:686円(税別) |
---|---|
使用量(単位:㎥) | 請求額(単位:円|税込) |
5 | 6037 |
10 | 9810 |
15 | 13583 |
20 | 17356 |
集合住宅の平均LPガス使用量:6.5 | 7169 |
全国の集合住宅にお住まいの方から、当社へご相談いただいた料金とガス使用量の平均値です。すべての都道府県・一人暮らし・家族暮らしすべて合わせた統計となりますので、あくまでも参考としてご覧ください。
またよろしければ下記のアンケートにご協力ください。
集合住宅にお住まいの方が、ガス代を安くするには

それでは集合住宅のプロパンガス料金は安くできないのかというと、そんなことはありません。
集合住宅にお住いの方が、プロパンガス代を安くする方法は大きく分けて以下の2つです。
- オーナーや管理会社または契約中のガス会社に安くしてもらうよう交渉する。(ガス会社は変更しない)
- オーナーにガス会社の変更を検討してもらう。
オーナーや管理会社に「ガス代が高い」と伝えてみましょう

①のオーナーや管理会社と交渉する方法ですが、これはオーナーと面識をお持ちの方であれば簡単にできます。オーナーと面識がない方でも、管理会社であれば連絡は取りやすいかと思います。
オーナーや管理会社に「ガス代が高いので、安くなりませんか?」と聞いてみましょう。
成否に関しては何とも言えませんが、聞くだけ聞いてみることにお金はかかりません。もしかするとオーナーがガス会社へ料金について掛け合ってくれる可能性もあるでしょう。ガス会社側が交渉に応じたならば料金を安くすることができます。
物件によっては、入居者からガス料金に対するクレームが頻発していることもあります。そのようなケースでは、ガス会社の切り替えを検討してくれるかもしれません。
料金相談に関しては、他の部屋にお住まいの方とコンタクトを取れる状況であれば、声がけをして一緒に行う方がより効果的になるでしょう。
また入居者自らガス会社に電話してみるのも一つの方法です。プロパンガス料金は自由料金制ですので、「交渉の結果、安くできた」というケースもあるようです。
オーナーにガス会社の変更を検討してもらいましょう

②のガス会社の変更を検討してもらうことについて、オーナーが建物全体のガス会社変更を検討していただけるようでしたら、当社がお力になることができます。
ガス会社を変更することで、ほとんどの場合、入居者のガス代を安くすることができます。
しかし、入居者の方がオーナーにガス会社の変更を「決断」してもらうことは難しいでしょう。
「ガス会社を変更することによって、オーナーにどのようなメリットがあるのか」「費用はかかるのか」などの詳細を具体的に説明しなければ、当然ながら変更には応じてもらえません。

入居者の方にしていただきたいことは「オーナーと交渉できる場をつくっていただくこと」です。(または管理会社でも構いません。)
具体的な説明は、当社や切り替え先のガス会社が行いますので、入居者の方にはオーナーに「プロパンガス会社の変更を検討していただける状況」にしていただくだけで構いません。その後の交渉はすべて当方が行います。
オーナーや管理会社とお話しする際には「ガス会社を変えればガス代が安くなるみたいだけど、電話かけさせるので検討してもらうことは可能ですか?建物の設備でもメリットがあるようなので。」というような形で、当社から電話がある旨をあらかじめお伝えください。
会社を変更することによって、オーナーにはどのようなメリットがあるかについては、こちらのページで解説しています。オーナーと話をする際の参考にしてください。


オーナーが「検討してもいいよ」ということでしたら、以下のどちらかの方法で当社までご連絡ください。
- 入居者様から当社へご連絡をいただく。
- ご連絡いただく際には、物件のご住所、現在ご契約中のガス会社と料金、オーナー様(または管理会社様)のお名前とご連絡先を伺うことになりますので、あらかじめご用意ください。
- オーナー様(または管理会社様)から当社へご連絡をいただく。
- こちらの場合には、入居者の方から当社へご連絡をいただく必要はございません。オーナー様のご都合の良い時に当社までご連絡ください。同じように、物件のご住所と契約中のガス会社名を伺った上で、具体的な説明を致します。
ガス会社を変更することによって、オーナー様にも入居者様にもメリットが多くあります。損になるということは絶対にありませんので、料金についてお困りの方は上記の手順をご検討ください。
分譲の集合住宅にお住いの方

分譲の集合住宅で、プロパンガス会社を変更するには、管理組合での議決が必要となります。
賃貸住宅と同じく、1部屋ごとにプロパンガス会社を選ぶことはできず、1棟でのご契約となります。
分譲の集合住宅の場合、賃貸と比べてガスの使用量が多い上、客層が良いなど、ガス会社にとってのメリットが大きいという特徴があります。
ガス料金を安くできることはもちろん、設備に関する投資を受けることができる可能性もありますので、ぜひ積極的に切り替えをご検討ください。
戸数が多い分譲マンションでは
特に戸数が多い分譲マンションでは、ガス会社としてはまとまった顧客を一度に獲得できるので利点が大きくなっています。
戸建住宅よりも安いガス料金にできることも多々あります。
管理組合の総会での交渉・プレゼンなどはガス会社や当社が行いますので、事前手続きとして以下の2点、どちらかをお願いすることになります。
- 議案を提出していただくなど、交渉・プレゼンできる場を設けていただくこと。
- 管理組合の理事長(組合長)を当社へご紹介いただくこと。
このどちらかを行っていただきましたら、その後の手続きはすべて当方で承ります。
※上記の手順を行っていただく以前でも、ご相談を承ります。どのようにしたら良いのかわからないという方は、お気軽にご連絡ください。
ガス会社を変更することにより、料金を安くすることができるだけでなく、物件によっては建物の共有部の設備変更をすることも可能です。
どこまでのサービスが可能なのかに関しては、建物の現在の状況はもちろん、環境によって大きく異なることになります。
当社では上記の情報を伺った上で、最もサービスが良く、料金を安くすることができるガス会社への取次ぎを行っています。
尚、分譲マンションのガス料金や切替手順については、専用ページでさらに詳しく解説していますのでご覧ください。
70戸以上の集合住宅にお住まいの方
お住まいの物件が70戸を超える場合には、管轄する法律が異なるためご案内内容が異なります。該当物件にお住まいの方は、こちらをご覧ください。
参照ページ:70戸以上の集合住宅
公営の集合住宅にお住いの方
県営、市営、町営など自治体が運営する集合住宅にお住まいの方は、比較的簡単に乗り換えをすることが可能です。
特に物件を保有しているのが自治体である場合には、上述したような設備投資が行われていないことが通常です。
つまりガスの供給だけが行われているので、設備投資や違約金などの交渉の必要がないのです。
またプロパンガスの乗り換えは、メーターとボンベを交換するのみで非常に簡単である上、自治体の担当者としても入居者のガス代が安くなることに関しては何の問題もないという考え方が通常です。
公営住宅にお住まいの方でガス会社の変更をご検討されている方は、まず物件を管理する自治体または住宅供給公社へとご連絡ください。
担当者の名前がわかりましたら交渉はこちらで行いますので、「ガス会社変更を検討してもらえるかどうか」をご確認ください。検討することが問題ないようでしたら、当社へとその旨ご連絡ください。
ただ、公営住宅も様々なケースがあります。
公営住宅でも個人のオーナーが所有しているケースも少なくありません。その場合には、通常と同じように設備投資が行われていることがあります。
また不定期でガス会社を見直すのではなく、定期的な入札によってガス会社が決められている物件もあります。その場合には、入居者発信でガス会社を変えることは不可能となってしまいます。
上述した切り替えについては、あくまでも自治体が所有していて、入札が行われていない物件の場合に限ります。
公営住宅でのプロパンガス会社切り替えについては、専用のページを設けて詳しく解説しています。公営住宅にお住まいの方は、ぜひご覧ください。
具体的なガス料金について

一戸建て用のページをご覧になった方はお気づきかもしれませんが、こちらの集合住宅用ページでは最安値料金を掲載しておりません。
集合住宅でプロパンガス会社を切り替える場合、どの会社も現在の料金を確認してから、切り替え後の料金を提案しています。
決まった最安値料金などが提示されていないため、当社としてもページ上に公開ができないという状況です。
ただ、切り替え先のガス会社としては、「現在のガス料金よりも安くする」こと前提として提案を行います。
まずはガス料金を下げるということを絶対条件とした上で、設備負担などのサービスをどこまで付加できるかを検討することになるのです。


集合住宅の場合には、従量料金の金額差が一戸建て以上に大きくなります。
高いケースでは、とんでもない金額で設定されていることもあれば、限界近くまで安いこともあります。それに加えて設備費用の負担がセットのようになっていることから、ガス会社としても決まった料金を設定するのが難しいのです。
プロパンガスは自由料金制

プロパンガスは、日本全国で使用されているライフラインのサービスでありますが、「自由料金制」が採用されているサービスです。自由料金制とは、その名の通り「ガス料金はガス会社が自由に決められる」ということです。
プロパンガス料金は自由であるため、ガス会社がどんなに高い値段で設定しようとも法律により罰せられることはありません。プロパンガスの料金がピンきりなのはこのためなのです。
上述したようにガス会社に交渉して安くできる可能性があるというのもこのためです。
プロパンガス料金は、供給するガス会社の一存によって、高くも安くもなるサービスなのです。
当社に今までいただいた相談のなかでも、とんでもない高値に設定されているケースが多くありました。おそらくこのページをご覧になっている方の多くも、「ガス代を安くしたい」と考えているかと思います。
プロパンガス料金は、黙っていればガス会社が自動的に安くするということはまずありません。誰かがアクションを起こさなければ変わらないのです。
集合住宅にお住まいの方でプロパンガス代に悩んでいる方は、おそらく相当な数にのぼるかと思います。このページ並びに当社が、ガス代を安くするための一助になれば幸いです。