ボンベの解説

プロパンガスのボンベなど保管設備は、法令では「容器」という名称が用いられています。

ガスの使用量が多い大型集合住宅では「バルク」と呼ばれる大きなタンクが使用されることもあります。一般家庭用では、「ボンベ」を容器として使用するのが一般的です。

このページでは、一般家庭で設置されるボンベについて解説しています。

ボンベの大きさ

ボンベの大きさ
50kgと20kgが一般家庭で良く使用されている

ボンベの大きさは何種類かあるのですが、法令で大きさが決められているのではありません。

プロパンガス関連の法令である液石法では、ボンベ内の内容積(ガスがどれだけ入るかの容量)で区分されています。

ボンベ内の容量が基準になっている
つまり「ボンベの高さや幅」ではなく、「中身のガス量がどれだけ入るのか」または「どれだけ入っているか」によって管理方法など技術上の基準が定められているのです。
一般的に使用されるボンベの種類
日本国内で一般的に使用されているプロパンガスのボンベは、このような種類です。
  • 50kg
  • 30kg
  • 20kg
  • 10kg
  • 8kg
  • 5kg
  • 2kg

供給地点のガス使用量や設置場所の環境を加味した上で、どのボンベを使用するのかが決定されます。

良く使用されるボンベは
一般的によく使用されているのは、一番大きな50kgのボンベです。コンロのみなどガス使用量が少ないお宅では、20kgボンベが採用されることが多いかと思います。

一般家庭など「メーターを設置してLPガスを供給する形態」では、20kg以下のボンベは実用的でないため使用される機会がほとんどありません。

小さなボンベは、主に重量売りと呼ばれる移動販売車や催事場など、一時的または使用場所が変わる際に用いられます。

ボンベのサイズは選べる?

ボンベのサイズは選べるのか
顧客の要望が通るとは限らない

どのボンベを使用するのか、利用者は選べるのでしょうか。

ボンベを置いて良い環境が定められている
原則としてボンベは、ガスが入っている危険物となるため、法令により設置条件が定められています。「どこでも好きな場所へ置いて構わない」のではありません。
「周囲に十分なスペースがあるか」「倒れた際に被害を抑えられるか」などが決められているのです。

また事業者は、ボンベ内のガス残量が少なくなってきたら、交換しなければなりません。「配送・交換作業が問題なく行えるかどうか」も大事なポイントになります。

そのため仮に顧客が「この大きさのボンベが良い」と要望を出したとして、それが叶うとは限りません。

ボンベ配送の都合
例えばガスの使用量が多い物件に10kgなど小さいボンベを設置すると、ひと月に何度も交換をしなければならないでしょう。
ガス切れを起こす可能性も高くなるので、消費者としても不安になってしまいます。
またボンベの設置場所が建物の裏側で、尚且つ狭い通路や段差があった場合、50kgのボンベを運ぶことが困難な可能性があるので、30kg以下のボンベが採用されることもあります。

一般的に50kgのボンベは、配送員が人力で運ぶことが難しいため台車を使用します。30kg以下であれば、自力で持ち上げて運ぶことができるのです。

法令の条件をクリアしていることが絶対条件とした上で、ガス使用量や現場の状況、さらに顧客の要望を加味して、どの大きさのボンベを設置するかが決められます。

その他にもガス事業者によって、「なるべく大きなボンベを設置するように」など、方針が決められていることもあります。

どのくらいの期間使える?

ボンベの容量
ボンベの重さ÷2がボンベ内に入るガス容量の目安

50kgのボンベは、LPガスの容量として約25㎥(立方メートル)を充てんできるようになっています。

50kgのボンベ2本が設置されていれば、最大50㎥のガスが貯蔵されていることになります。

ボンベの重さ÷2≒ガス容量

ガスの使用量はお宅により異なりますが、給湯をガスにしている一般家庭であれば5~30㎥くらいです。参照:岡谷酸素・LPガスのボンベ1本でどのくらい使えますか?

50kgのボンベが2本設置されていれば、多くても月に一度交換すれば通常はガス切れが起こらないようになっているのです。

2本設置されることが多い

一般家庭のボンベは、状況に問題がなければ2本セットで設置されることが通常です。

これは消費者宅でボンベ内のガスがなくなってしまう「ガス切れ」が起こるリスクを軽減するための対策です。

なるべくボンベ交換回数を減らしたい
通常、ガス会社としては「できる限りボンベ交換の回数を減らしたい」と考えているでしょう。
容器交換時には、同時にガス漏れなどの点検を行う必要があるほか、配送の手間や諸々に関する費用がかかります。
参照:容器交換時点検

従って「法令に抵触しない範囲で大きなボンベを設置したい」と考えている事業者が多いと考えられます。

集中監視システムによる配送効率化
ただ近年では、遠隔監視でボンベ内のガス残量を把握するシステムが普及してきています。
この仕組みを導入することにより、ボンベ交換の頻度を減らすことができるのです。
「あまり大きなボンベは設置したくない」と考えている方は、ガス会社に相談してみましょう。