LPガス大手のニチガスは4月14日、消費者庁から行政処分を受ける予定であることを発表しました。

処分の対象となったのは、2021年3月から2022年3月に行った訪問販売業務6件、

  • 勧誘目的等の明示義務に違反する行為
  • 再勧誘の禁止に該当する行為
  • 不実のことを告げる行為

この3点があったとされています。

処分内容は、5月1日または6月1日(予測)から3か月間にわたり訪問販売などが禁止となります。(日付を4/19に訂正しました。)

※5月25日追記:消費者庁から正式な処分が決定しました。

今回、特商法(特定商取引法)に触れてしまったのは、ニチガスの従業員ではなく業務委託先のスタッフによる営業行為です。また商材としては、ニチガスが取り扱う新電力の営業の際に違法な勧誘があったようです。

「勧誘目的等の明示義務に違反する行為」とは、例えば「ニチガスの電気の勧誘です」という目的を訪問時の最初に告げていなかったことが推測されます。

つまり目的を濁して訪問し、消費者としては後々になって「ニチガスでんきの営業だったんだ」と判明するような状況であったことが推測されます。

「再勧誘の禁止に該当する行為」は、最初の訪問時に断った消費者に対して、再度訪問勧誘を行う行為を指しています。一度断られた(消費者としては断ったと認識している)お宅に、もう一度訪問してしまったのでしょう。

「不実のことを告げる行為」は、事実でないことを話して勧誘してしまう行為です。

ニチガスの個人宅向け新電力「でガ割」は、最初の200kwhまでが4685円(税込み)の定額制で、それ以上使用すると安くなっていくという料金体系です。

つまり電気の使用量が200kwh以下になるかもしれないお宅では、逆に電気代が高くなってしまう可能性があるのです。推測ですが、このあたりのリスクを告げずに「絶対に東京電力よりも安くなります」というような言葉で勧誘してしまったのではないかと思われます。

ニチガスは、積極的に営業活動を展開する企業として知られています。

法令遵守の対策として自社とグループ会社従業員、さらに業務委託先スタッフも含めて、営業活動に従事する者に定期的に特定商取引法の講習会受講を義務付けています。

さらに営業時には録音を義務付けるなどの対応をしています。

今回は、一昨年3月から昨年3月までの行為が問題とされ、昨年6月に立入検査を受けていますので、録音データを提出するなどのやり取りがあったのでしょう。

特定商取引法違反による勧誘の禁止は、最近では日本アムウェイが2022年10月14日から2023年4月13日まで6か月間の停止処分を受けたことがニュースになりました。

勧誘をはじめる際に目的を隠しつつ不明瞭な形で入っていくのは、比較的犯しやすいミスなのですが、日本アムウェイはこのような行為が常習化していたということで重い処分を受けることになりました。

ニチガスへの処分は、1~2年前の営業に対してであり該当案件が6件ですので、事例に対してかなり重めの処分が下されたという印象です。

尚、ニチガスから発表されているのは、あくまでも予定通知ですので、消費者庁から正式な処分は発表されていません。

発表通りの処分が下されるとしたら、5月か6月から3か月間、ニチガスの従業員と委託先のスタッフによる訪問営業と恐らく電話営業も禁止になるでしょう。

ニチガスのグループ会社である東彩ガスや東日本ガスなどは、処分の対象にはなっていませんのでご注意ください。

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