資源エネルギー庁は11月24日、常時バックアップの廃止に向けた環境整備に乗り出す方針を「電力・ガス基本政策小委員会」に示しました。

大手電力による卸先選定プロセス透明化の取り組みなどの結果、内外無差別性が担保されていると評価されれば、エリアごとに廃止を認める方向。

ただ、スムーズに廃止に至るかどうかは不透明、新電力間の公正競争の観点から、現行の運用ルールの見直しも並行して進めます。

常時バックアップは、2000年の小売事業が部分的に自由化されて以来、新電力の主要な供給力の確保の手段として機能しているシステム。卸市場の流動化が進む中で、有識者や大手電力から廃止を求める声が高まっています。

廃止の是非の判断は、大手電力ごとに行います。

資源エネルギー庁は、内外無差別な卸売を行っていると判断された大手電力は、常時バックアップを行う必要がないという記載を適正取引ガイドラインに新たに加える考え。内外無差別性の判断は、電力・ガス取引監視等委員会に委ねられます。

監視委員会が廃止という判断を下した場合でも、新電力の事業活動に悪影響が及ばないように経過措置を講じます。

例えば、残りの契約期間の扱いなどで、何らかの配慮を行う見込み。廃止後に内外無差別性の担保状況に疑義が生じた場合は、復活も可能とする方針です。

今回、資源エネルギー庁が常時バックアップ廃止に向けて踏み出した背景には、入札など卸先の小売事業者を広く募集する取り組みが大手電力の中に広がっていることがあります。例えば、東北電力は、2023年度の卸先選定のため、自社の小売部門も参加する入札を実施しています。

しかし、だからといって常時バックアップ廃止をすることにより、本当に内外無差別性が担保されているかどうかは、検証が必要になるところです。

11月24には、エネットの谷口社長が「ある大手電力の入札では、供給量が早々に上限に達したため、受付終了になっている。自社グループの長期契約分を差し引いた残りの電力の供出になっていないか」と指摘しました。入札が「最初から出来レースになっているのではないか」という疑念があるのです。

監視委員会は、大手電力各社の2023年度分の卸先選定プロセスが終わった後、速やかに事後評価作業に入る方針です。

現行の運用ルールについては、古くから常時バックアップを利用する老舗の新電力が枠の過半を抑えてしまい、新電力間の競争環境をゆがめているといった指摘がなされています。なかには、5社だけで総契約量の9割以上を占めているエリアもあると言われています。

つまり、新電力間の競争が公平に行われていないという指摘が以前からされている状況なのです。

常時バックアップは、新電力が需要拡大量の一定割合を枠として確保できる仕組みなのですが、拡大量の算定基準が「契約申請時点の需要量」であるため、こうした状況が生じています。

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