プロパンガス業界は参入が比較的容易で事業者数が多いことを特徴としており、日本国内で1万7千社近くにまで上ります。
企業の種類は、株式上場している超大手企業から大企業、中小企業から個人経営に近い零細企業まで様々な会社がプロパンガスを販売している状況です。
消費者側としては、たくさんあり過ぎてどの企業と契約すれば良いのかがわからないというお気持ちの方が多いのかもしれません。
ガス会社を選ぶ際には、まずお客様自身が「何を判断基準にしてガス会社を選ぶのか」ということを決めていただくことが大切です。
プロパンガス会社を決める際、なにが大切なのか
プロパンガスは「ガスの質」はどの会社も同じですので「サービスの差」を出しにくい商品です。そんな中、多くの方は料金を第一基準とされるかもしれません。同じものであれば、安い方が良いという考えは当然でしょう。
しかし、プロパンガスの料金には注意しなければならないことが含まれています。
ガス料金とは「ガスを購入する」という単体の行為ではなく、「ガスの代金と保安・管理などのサービスのセット」として捉えるべきものなのです。
ガス機器が進化したことにより、近年ではプロパンガスの死亡事故はほとんど起こらなくなりました。しかし、死亡事故に限らず事故件数全体を見ると、国内では年間で100件程度はガス事故が発生している状況です。(消費者側の過失による事故も含む)
日本全体の件数として考えると非常に少ないと見ることもできるのですが、安全性を無視した会社選びは、やや危険かもしれません。
企業の保安管理体制を考慮した上での会社選びをされることを、当社としてはお勧めしています。

管理体制という面で考えた場合、一定以上の規模を持つ企業の方に、やや分があると言えるでしょう。大企業では、交代制で宿直を配置するなど24時間365日の管理を行っている企業がほとんどです。
一方で中小企業の場合には、毎日宿直を用意することがどうしても難しくなってしまいます。
大手企業と中小企業を単純に比べた場合、会社としての体力に差があるので、その他の面でも様々な違いがあります。
例えば営業所やコールセンターなどの施設、顧客応対の充実度を比較した場合には、大手企業の方が優れているでしょう。
また顧客管理システムやメーター・ボンベ、配送車などの設備を最新式にするために投資できる予算を考えた場合にも、資金力のある大企業の方が有利です。
そのような設備や顧客対応、トラブルがあった時のことなどを考えると、大企業の方が安心だとするのが自然です。
上記のような事情のため、当社としては中規模以上のガス会社を選ぶことをお勧めしています。
ただし、お客様の価値観はそれぞれです。実際、近年ではガス事故はほとんど起きていない訳ですし、ほとんど気にしないという方もいらっしゃるでしょう。まずは何を第一としてガス会社を選ぶのかをお客様ご自身で決めることが大切です。
ガス料金はお宅によって異なる
このウェブサイトでも繰り返し記載していますが、プロパンガスは料金が自由化されていて個々のお宅によって異なります。
「あの会社だから絶対に料金が安い」ということを言い切ることができません。
ガス代は契約している会社で異なるだけではなく、各お宅によっても異なるのです。
今までにご相談いただいたケースでは、大手企業でも中小企業でも、料金が高いお宅も安いお宅もあるという状況です。
いざ本格的に料金競争を行った場合には、体力のある大企業の方が安くできると思われますが、「個々のお宅の料金」を考えると、企業規模と料金とはそこまで関わりがないと言えるでしょう。
大手だからガス料金が安い、中小企業だから高いと決めつけてしまうのは早計です。
もちろんその逆だということも、同様に決めつけることはできません。
料金を第一の判断基準にするとしたら、あまり企業の大小は気にせず、乗り換えた際の料金はいくらになるのか、契約した後の料金はどのように変動するのかをしっかりと確認した上で、冷静に判断されることをお勧めします。
料金を確認した上で、担当営業の方は信頼できそうかどうか、インターネットでホームページをチェックして、安心して利用できそうかどうかなどを判断するようにしましょう。
ただし、当社のこれまでの経験を踏まえたうえで、「この会社は料金が安くお勧め」「この会社は料金が不安定でお勧めできない」という傾向が確かに存在します。特定の企業を攻撃するつもりはありませんので、ここで企業名を掲載するのは避けますが、乗り換えでお悩みの方は当社にご相談いただけましたら詳しくご案内ができます。
小規模企業や超大手企業は注意が必要
企業規模の大小だけでは、料金が高いのか安いのかを判断することができないということを上述しました。ただ、料金を安くしやすい状況にあるかどうかという点で考えると企業規模を参考にすることはできます。
例えば、1つの拠点のみで影響している小規模企業では、多くの場合にボンベの配送業務を他社へと委託しています。つまり消費者と供給契約を結んではいるものの、実際に顧客宅へとボンベを届けているのは、委託先の企業なのです。この場合、委託している企業に配送料金を支払う必要があるため、必然的に必要経費が高くなってしまいます。その他にも小規模企業では、数による低コスト化をすることができないので、「料金」という面に関しては不利な状況にあると言えるでしょう。
また一方では、株式上場しているような超大手企業でもかなりの高値で供給しているケースも目立ちます。企業規模が大きくなると一等地に自社ビルを持つなど、様々な費用が必要となります。そのため一般的に超大手企業では、そこまでの安値では提供するケースは少なくなっています。元々持っている顧客数が膨大な数であるうえネームバリューも持っており、他社と差別化するほどの安値を打ち出すようなことをしなくても、大幅に顧客を失うようなことはないのです。
あくまでも傾向ですが、中規模から準大手と言われる規模のガス会社が、料金を含めて良質なサービスを提供している傾向にあります。この規模の企業は、「顧客数を増やして大手企業に追いつく」という目的を持っています。そのため、新規の顧客に対してもできる限りの安値で供給する向きがあり、他社と差別化することを強く意識している企業が多いと言えるでしょう。
もしもインターネットの評判
ガス会社を乗り換えようと思って、念のためインターネットでその会社を調べてみたら、悪い評判が書いてあったとします。
あなたならどうされますか?
まず、その情報が本当なのかどうかを冷静に判断すべきです。
インターネットはとても便利で、手軽に様々な情報を得ることができます。ただ、その中には事実を記載しているものもあれば、事実ではないことを記載している場合もあります。
上述した通りプロパンガスは事業者数が極めて多い業界であるため、業界内の争いが激しくなっています。
あくまでも一つの可能性ですが、ライバルの会社が悪意を持って事実ではない悪い評判を書き込んでいたということもあるようです。
そのような時にお勧めなのは、現在契約している会社のこともインターネットで調べてみましょう。もしかすると、同じように悪いことが書いてあるかもしれません。
プロパンガスを販売していて、ある程度の規模を持つ会社に関しては、インターネットで調べると大抵は悪いことが書いてあったりします。企業規模が大きいことは、必然的に抱えている顧客数が多いことにつながりますので、色々なことが書かれてしまう可能性もそれだけ高くなるのです。反対に中小のガス会社に関しては、インターネットで検索してもほとんど話題に上っていないかと思います。
また良い部分よりも、悪い部分の方が取り上げられやすいということにも気をつける必要があるでしょう。
「絶対に事実ではないので、乗り換えた方が良いです。」というようなことを言うつもりはありません。ただ安易に決めつけずに、よくお考えいただくことをお勧め致します。
プロパンガスの商品と供給範囲
プロパンガスは会社による「商品の違い」というものがありません。
ガスの品質や火力など、会社によって異なるということがなく、どの会社から供給を受けたとしても同じガスです。
一般の商品の場合には大きな判断基準となる「品質の差」がないことから、消費者としては供給する企業による差が見出しにくくなってしまいます。従量料金の金額差が判断基準になるということは、そのような意味では必然だと言えるでしょう。
事業者が供給契約を結ぶことができる範囲について。
プロパンガスの供給契約を結ぶ際、原則として供給地点から最寄りの営業所まで半径20km以内(時間での目安は30分以内)でなければ、契約をしてはいけないと法律で定められています。
中には、最寄りの営業所が近い方が安心できるという方もいらっしゃいます。そのような方は、インターネットで企業の営業所一覧を調べてみましょう。
また、営業所が近くにある場合には、いわゆる「自社のテリトリー」という認識を持っている企業も多いので、絶対に他社に負けられないという気持ちで接してもらえる可能性があります。料金が安めに設定される可能性もありますので、ご近所にプロパンガス事業者の営業所がある場合には、相談してみるのも良いでしょう。
料金やセキュリティー以外のサービス
これまで料金と保安管理をメインとして解説しましたが、それ以外の要素で他社との差別化を進めている企業も多くあります。
特に近年では、エネルギー企業の経営が多角化される傾向にあり、ガス会社が電力販売、電力会社がガス販売を行うなど、事業の垣根を超えた展開が見られます。
ガス会社が電力とのセット割を行うケースは特に多く、セットで契約すると少なからず料金が安くなるなどの特典を受けることができます。
電力以外にも、インターネットやウォーターサーバーなど、特に日常生活と密着した商品とのコラボレーションが盛んです。
それ以外にも、エコジョーズやガスファンヒーターなどガス機器のレンタルや実質無償での提供、毎月のガス代に対してポイント制を導入するなどの工夫も見ることができます。
今までは、「ガスを使うだけ」というイメージが強かったプロパンガスですが、会社によっては自社独自のお得感を出すために様々な工夫を行っているのです。
もしかしたら、ご契約中のガス会社、または乗り換えを考えているガス会社にも、今まで気にしていなかった魅力的なサービスが付随しているかもしれません。
企業のホームページで大半は確認することができるはずですので、気になる方は、まずご契約中のガス会社のホームページを見てみましょう。
最後になりますが、プロパンガスの会社を選ぶ際に料金や安全面ではなく、「付き合い」を重視される方が未だに多くいらっしゃいます。
特にご年配の家庭では「長年ずっとこの会社に頼んでいたから、料金が安くなったとしても変えない」という方が多い傾向にあります。
お客様の価値観はそれぞれですので、付き合いを重んじること自体を否定するつもりはありません。ただし、そのような場合には、往々にして料金が高めに設定されているのです。
料金が高いことは、プロパンガス業界全体の長年の課題とされている事項です。
ガス会社を変える変えないはお客様の自由ですが、少なからず料金を気にされることで、業界全体が改善の道へと進むことができるかもしれません。時には「高いものに高い」と指摘することも大切であると考えます。
長い間1社と契約し続けているお客様は、くれぐれも料金の高騰にお気をつけください。