オーナーへの設備投資とLPガス料金

このページでは、プロパンガス供給物件を所有しているオーナー様に向けた設備投資について解説しています。

設備投資を受けることによりオーナーの費用負担は軽くなりますが、必ずしもメリットばかりではありません。

入居者のガス料金についても触れていますので、アパート経営の参考としてご覧ください。

当社は、取次代理店の立場から「現状のガス会社から切り替える特典」という観点で記載しています。ガス会社切り替えのご相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。

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LPガス会社からの設備投資

プロパンガス業界では、事業者から物件所有者に対して、契約の見返りとして利益供与をすることが通例になっています。

給湯器などの設備投資を提案することが一般的ですが、その他にも様々な種類があります。

以下、「ガス会社を変更することで得られるメリット」という形で、一般的に行われているオーナー特典の例を紹介します。

入居者のLPガス料金を値下げ

入居者のLPガス料金を下げる
プロパンガスの基本料金や単価を安く

ガス会社を変更することにより、まず入居者のガス料金が安くなることが期待できます。

入居者のガス料金は重要
集合住宅のプロパンガス料金は、戸建住宅や都市ガスと比べて高めに設定される傾向にあります。実際に声を上げなかったとしても、潜在的に「ガス代が高い」と不満に感じている入居者が多いのです。
参照ページ

プロパンガス料金は自由料金制ということもあり、不当に単価を上げられている集合住宅が非常に多くあります。「ガス代が高くて困っている入居者の割合が高い」ことをご認識ください。

給湯器の修理・交換の無償対応

給湯器の交換費用をLPガス会社が負担
最もポピュラーな給湯器のフリーメンテナンス

給湯器が故障した際、ガス会社の費用負担で修理を行う、または最新式のものと交換いたします。修理や交換の無償対応は、フリーメンテナンスと表現されることもあります。

給湯器のフリーメンテナンスはスタンダードな提案
給湯器フリーメンテナンスは、ガスと直結する機器ということもあり、広く提供されているサービスです。
ガス事業者は業務上、頻繁に給湯器を取り扱いますので、ノーリツやリンナイ・パロマなど大手メーカーから原価近くの安値で仕入れることができます。給湯器の投資は、LPガス会社としても提案しやすいのです。

現在、給湯器を自費で修理交換しているオーナー様は、損しているかもしれません。

また給湯器を新しい機種にすることで熱効率が上がり、より少ないガス量でお湯を沸かすことができるようになります。入居者のガス使用量が下がるという効果も期待できます。

お持ちの物件が古くても
給湯器のフリーメンテナンス対応は、プロパンガス会社にとって一般的なオーナー向けサービスです。
築年数が古い物件であっても、給湯器投資の提案はできるケースも多くあります。
「給湯器のフリーメンテナンス+ガス料金の値下げ」というプランであれば、入居者のガス料金にも負担をかけない上、多くの物件で提案が可能です。
「物件が古い」などの理由で設備投資を受けていないオーナー様もぜひご検討ください。

ガス漏れ警報器を設置

LPガス警報器を設置
LPガスは空気より重いので低い場所へ設置

近年では、機器性能の向上によりガス漏れ事故の件数は減少しています。ただ万が一のことを考えて、警報器をつけておいた方が居住者も安心して生活ができるでしょう。

ガス漏れ警報器は、家電量販店などで市販されていますが、取り付け作業が苦手な方もいらっしゃるかと思います。 設置から動作確認までをガス会社の専門スタッフが行うので安心です。

バランス釜や単水栓を最新式へ

風呂釜や水栓を交換
バランス釜や単水栓は不人気

古い物件でバランス釜やCF釜を使用している場合、通常の風呂釜・屋外設置の給湯器へ交換可能です。

バランス釜は人気が低い
バランス釜は、作業が複雑な上に浴槽が狭いため、入居者から敬遠される傾向にあります。
さらにバランス釜のお風呂は、近年では数が少なくなっているため部品がない(または高い)など修理対応が難しいこともあるのです。
バランス釜を使用している物件のオーナー様は、屋外設置型の給湯器へ切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。

プロパンガスの物件であれば多くの場合、無料で一般の風呂釜に変更することができます。

また単水栓から混合水栓への交換に関しても、費用一式を投資できる可能性があります。

インターホンをモニター付にグレードアップ

インターホンをモニタ付に交換
モニタ付インターホンで安心度向上

インターホンが画像付きになると、誰が訪ねてきたのかモニタで見ることができます。

ドアを開けずに相手を確認できることは、防犯上で非常に大きな効果があります。

訪問営業対策
オートロックがない集合物件では、訪問による勧誘が多いのはご存知でしょうか?
訪問営業なども断りやすくなるので、特に女性には求める方も多いでしょう。
最新機種では、宅内の固定電話やスマートフォンで画像を確認できるという便利なものもあります。

エアコンを最新のモデルに交換

エアコンの修理または交換
エアコンの投資で費用負担軽減

ガス会社を変更した際に空室の部屋は、エアコンを新しい機種に交換することができます。

入居中の部屋では、空室になったタイミングで交換することが一般的です。(どちらも交換が必要な場合)

エアコン投資は求めるオーナーが多い
エアコンの交換は給湯器と並び、設備費用の中で大きな割合を占めています。入居者にとっても暮らしていく上で絶対に必要なものであるため、素早く対応しなければなりません。
エアコンの投資は、物件によっては難しいこともありますが、ガス会社負担に移行することができれば大きな負担軽減になるでしょう。

高価なもので、頻繁に投資できるものではないため、交換が必要ない場合には修繕・クリーニングで済ませることもありますが、いずれも無償で行います。

ウォシュレットなどの投資

その他の設備投資の例
LPガスとは関係ない投資も検討可能

近年では、ビルのトイレなどでウォシュレットが広く導入されています。そのため、自宅でも慣れているウォシュレットを希望する方も多いようです。

ウォシュレット・トイレへ
トイレ交換も高価且つ工事も必要なため、なかなか手をつけられないオーナー様も多いかと思います。
ご希望の場合には、最新式のトイレに変更する手続きをすべて代行することが可能です。

その他、物件によっては集合ポストやゴミ集積BOXの設置などが投資できることもあります。

プロパンガスは自由なサービスですので、このようにガスとは直接関わりのない設備に関しても条件が合えば負担を依頼することができます。

現金による謝礼の支払い

ガス会社からオーナーへ、謝礼金などの名目で現金を贈与することも一般的です。

特に近年では、行政から設備投資に対する規制が厳しくなっていることもあり、現金が投資代わりとされる機会も増えています。

戸数に応じて金額を決めて一度だけ支払う形が一般的ですが、入居者が支払うガス料金の〇〇%など、定期的に金銭を支払う提案をしている事業者もあります。

物件により投資内容は違う

以上、オーナーに対する特典を紹介しました。

投資内容は物件により異なる
「上記の内容すべてを投資できる」のではありません。どんな内容の投資を受けることができるかは、物件の状態やガス会社の方針により異なります。事業者としては、投資分の費用を回収できるかどうかを判断するのです。

建物の築年数や間取り(単身用・ファミリータイプ)、戸数などが設備投資を行う上で最も重要な要素になります。

また例えば関東地方など「事業者同士の競争が激しい地域」においては、投資内容は手厚くなる傾向にあります。

設備投資の傾向
  • 築年数が古い物件では、手厚く設備投資をすることは難しいでしょう。
  • 単身用よりもファミリータイプの方がガス使用量が多くなりますので、設備投資がしやすくなります。
  • 戸数が多いほど、まとまった顧客を確保できるので良い提案ができます。大型の集合住宅では、ガス料金も戸建住宅以下にできることがあるなど、アパートとはまったく違う対応になることも少なくありません。

数十戸規模の集合物件をお持ちのオーナーや理事長または管理会社などは、あわせて下記ページもご覧ください。

LPガス会社変更の相談をする

当社は、プロパンガス取次代理店として10年以上の業務経験を持っています。
北海道から九州まで、各地域で多数のプロパンガス事業者と取引をしています。サービスの良いガス会社などの情報を持つほか、経験を活かしてオーナー様の立場に沿った提案をすることができます。
お持ちの物件に供給しているプロパンガス会社の変更を検討しているオーナー様は、お気軽にご相談ください。
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設備投資を受けるメリット

プロパンガス供給物件の所有者が設備投資を受けるメリットは明白です。

設備投資を受けるメリット
投資を受けることにより、自身の費用負担を軽くすることができるのです。
事業者からの利益供与により、経済的な面において助力を得られるのは間違いありません。

極端に競争が少ない地域を除いて、LPガス事業者にとって設備投資をすることが「通常サービス」になっています。

現状で設備投資を受けていないオーナー様は、「なにを投資してもらえるのか」を把握することをお勧めいたします。

設備投資以外を解説したオーナー向け情報は、別ページで詳しく解説しています。⇒アパート経営をしているオーナー様

設備投資を受けるデメリット

反対に設備投資を受けるデメリットもあります。

設備投資を受けることにより、その対価として入居者のガス料金が上昇します。

ガス会社が設備投資する理由は、「その物件にガスを供給する権利が欲しい」からです。そして供給することにより得られる利益は、入居者が支払うガス料金です。

入居者のガス料金で投資額を回収
ガス会社としては、設備投資した金額分を入居者のガス料金から回収しなければならないのです。
「設備投資をしていない建物」よりも「投資をした建物」の方が、ガス料金(基本料金や1㎥あたりの単価)が上がることは、自然な流れです。
切り換え時のガス料金は最低でも現状維持
基本的な考え方として設備投資を充実させるほど、ガス料金は高く設定せざるを得ないことになります。
LPガス会社を変更する際、設備投資を求めるオーナー様であれば、最低でも現状の料金を維持できる範囲で設備投資の提案を行うのが一般的です。
ガス料金を上げ過ぎると入居者の負担が増して空室に繋がるなど、オーナーとガス会社双方にとって良くない結果になってしまうからです。

入居者はプロパンガス料金が高くて困っている?

プロパンガス料金は、法規制されていない自由料金制であるため、都市ガスと比べて透明性が低いという特徴があります。

集合住宅のプロパンガス料金は元々高い
集合住宅においては、設備投資を受けていなくても相場自体が高く、それが問題視される機会も増えています。
集合住宅の入居者から当社へ寄せられるご相談やアンケート内容を見ると、プロパンガス料金が高くて本当に困っている方が多くいらっしゃいます。

「設備投資を受ける=入居者のガス料金が高くなる」という認識を忘れないようご注意ください。

過度な投資を求めると、空室率の上昇など、長い目で見た際にオーナーの得にならないとも考えられます。

投資を受けなくても料金が高いかもしれない

集合住宅のLPガス価格は、相場自体が高くなっています。

設備投資を受けていない建物であったとしても、戸建住宅よりも高く設定されていることがほとんどなのです。

設備投資を受けていなくても高い
これには様々な理由がありますが、「入居者の意思でガス会社を変えられない」「料金トラブルが多い」などの事情が影響しています。
つまり仮に設備投資を受けていなかったとしても、元々必要以上に高くされている可能性が高いのです。物件によっては、投資を受けたとしてもガス料金が現状と変わらないことも十分に考えられます。

筆者個人の意見としては、設備投資をあまりに多く求めすぎるのはお勧めしませんが、入居者のガス料金が一定程度に収まる範囲であれば、給湯器などの投資を求めること自体は問題ないでしょう。

オーナーや管理会社がガス料金を把握しましょう

設備投資の有無に関わらず、集合住宅の管理者は、入居者のガス料金を可能な限り把握しておくことをお勧めいたします。

できる限り入居者のガス料金を把握しましょう
過去の事例においては、戸建住宅の3倍以上の単価設定がされている集合住宅もありました。基本料金においても、アパートなど小型集合住宅においては、2000円を超えていることが珍しくありません。
参照:プロパンガスの基本料金

「プロパンガス料金が高くて、入居者が困っている可能性が高い」と認識されることをお勧めいたします。

料金はガス会社にお任せではなく、値上げのチェックや定期的な確認などをした上で、必要に応じて事業者変更や料金交渉をしましょう。

入居者にとって理不尽な仕組み

現状のLPガス業界では、事業者からオーナーに対する設備投資が常態化しており、結果的に入居者が不利益を被っています。

強者であるオーナー(貸主)が特典を受け、その割を食うのが弱者である入居者(借主)という図式になっているのです。

入居者の立場で考えると
もともとLPガス料金は、法律により規制されていないこと自体も問題です。
それと同時に集合住宅では、入居者から見ると不透明な形で料金が吊り上げられており、尚且つ自身の意思でガス会社を変更することができません。
入居者の気持ちを考えると、とても理不尽であると言わざるを得ないでしょう。

設備投資に関する規制強化

近年、行政においてLPガス事業者のガス設備や配管などの設備投資を問題視する動きが加速しています。

設備投資費用と入居者ガス料金を分離へ(2023年2月)

経済産業省による対策強化
2023年6月には、経済産業省よりLPガス事業者団体を通じて各LPガス会社に対して、集合住宅に適用される料金体系をあらかじめオーナーや管理会社に通知することが依頼されました。
同じく経済産業省から国土交通省を通じて物件管理会社の団体に対しても同様の依頼がなされています。
参照:資源エネルギー庁・集合賃貸住宅におけるLPガス料金の透明化
「設備投資分」を明確に分ける?
2023年7月には、LPガスWG(ワーキンググループ)において、2027年に設備投資分の費用をガス料金に転嫁することを法令(液石法)により禁止する方針が示されました。
この報告を受けた内閣府発布の書面においても、賃貸集合住宅において「LPガス料金の内訳を明確に記載すること」が明記されています。
参照:内閣府・賃貸型集合住宅の入居者に対する賃貸借契約時におけるLPガス料金の透明化の促進

これは、まさにLPガス事業者から物件オーナーに対する設備投資において、入居者のガス料金が不当に上昇することを問題視しているものです。

設備投資は存続するのか

将来的には、プロパンガス会社からオーナーへ設備投資すること自体が難しくなるかもしれません。

ただ筆者の個人的な考えでは、仮に法改正が進んで投資することが禁止されたとしても、ガス会社からオーナーに対する利益供与は、何らかの形で続けられることになるでしょう。

プロパンガスは、商品の質は同じですので、それ以外の面で違いをだすしかありません。

何らかの形で特典は継続される?
契約を結ぶ代償を求めるオーナー様はたくさんいらっしゃいます。事業者側としても、商品の中身が同じである以上、何らかの特典を付けない限り他社と差別化することが難しいのです。
つまり特典の付与がなくなってしまうと、オーナーに対して「当社へ変更しませんか?」という営業活動をするのが難しくなってしまいます。

ただ現状の「ガス料金がわからない」「都市ガスやオール電化よりも非常に高い」など、入居者がプロパンガス物件を避ける傾向にある状態は、望ましくありません。

オーナーの利益と入居者の生活のバランスを取ることが大切だと考えます。

土勢育孝

どせ やすたか

株式会社new create 代表取締役

執筆者

このページの記事は、私が執筆しました。
プロパンガス関連業務に10年以上携わっております。
これまで、多くのオーナー様からご相談を承っています。物件に合わせた提案をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
お電話でご相談いただく際には、私をお呼び出しください。

記事執筆者