プロパンガス料金の計算方法
プロパンガス料金の計算方法

プロパンガス料金は法律によって制限されていないことから、様々な計算方法が存在しています。

多くの企業では複数の料金プランを持っており、それを顧客ごとに使い分けています。

一般的には「二部料金制」が使用されますが、輸入価格に連動させるプランなど、事業者により様々なプランがあります。

この記事では、1㎥あたりの単価の求め方も含めて、いくつかの料金プランを解説します。

プロパンガスの従量単価の求め方

従量単価の計算方法
LPガス単価の計算方法

プロパンガス事業者は、利用明細に1㎥あたりの従量単価を記載していないことがあります。その場合、明細を見ただけでは、適用されている単価がわかりません。

1㎥あたりの単価を知りたい方は、簡単に計算ができます。

(請求金額-基本料金)÷使用量=従量単価

この計算方法は、業界内で広く使用されている「二部料金制」での従量単価の求め方です。

※請求金額と基本料金に関して、税込み・税抜き、どちらの金額でも計算できます。ただし税込みであれば両方とも税込み、税抜きにするなら税抜き、統一しなければ正しい数値が求められません。

税抜きの金額を求める計算
「税込み金額÷1.1=税抜き金額」
税込みの金額を求める計算
「税抜き金額×1.1=税込み金額」
基本料金の記載がない場合
稀に基本料金も明細に記載していない事業者があります。
基本料金がわからなければ従量料金を求めることができません。
その場合にはガス会社に問い合わせるか、または暫定で基本料金を設定して計算しましょう。
暫定で決める場合は、1500~2000円ほどで計算するのが妥当です。
参照:基本料金の解説

プロパンガスの計算方式の種類

LPガス料金の計算方法の種類
ガス会社によって色々な計算方法がある

プロパンガス料金の計算方法は、基本料金と従量料金を組み合わせる方式が一般的ですが、他にもいくつかの計算方式があります。

事業者によって採用している計算方式の種類は異なるのですが、代表的なものを採用頻度が高い順に記載します。

利用状況によっては、計算方法を変更することでガス代の節約につながるかもしれません。参照:プロパンガス代を節約する

二部料金制

現在のプロパンガス業界で、広く採用されているのがこの二部料金制です。

「基本料金+(従量単価×使用量)=請求額」

このように計算が簡潔なのが特徴で、事業者からも消費者からも支持されています。一般家庭では、多くのお宅がこの計算方式で請求額が決定されています。二部料金制の例:イワタニ関東標準料金

従量料金スライド制

基本的な計算図式は二部料金制と同じなのですが、特徴的なのが「ガスの使用量に応じて単価が変動する」という部分です。事業者によっては、使用量に応じて基本料金も変動します。

都市ガスではスライド制が一般的
都市ガスでは、スライド制の料金設定をしている事業者が多くなっています。プロパンガス事業者でも、この方式を採用している企業が少なくありません。

注意点として、変動する従量料金の計算方法が事業者によって異なります。

スライド制の料金例
【1㎥あたりの単価「0~10㎥=450円、11~20㎥=400円、21㎥以上=350円」】
【使用量が21㎥だった場合】

事業者A)「使用量21㎥×350=請求額」
事業者B)「(使用量10㎥分は450×10)+(10~20㎥分は400×10)+(1㎥分は350)=請求額」

このように単価の捉え方が事業者により違います。プロパンガスは自由料金制ですので、どちらが正しく、どちらが間違っているのではありません。

原料費調整制度

原料(プロパン・ブタン)の仕入れ価格に連動させる形で従量単価を変動させる方式です。(正しくは原料費調整制度は、計算方式ではなく単価を決める方法なのですが、ここでご紹介しています。)

原料費調整制度
原料費調整制度は、消費者にとって公平な計算方法といえるでしょう。
事業者としてはこの方式を採用する限りは、仕入れ価格の変動以外の理由で値上げすることができないため、消費者側としては安心できるかもしれません。
原料費調整制度の例:アストモスリテイリング・標準料金プラン
原料費調整制度は安くない
ただし、調整額が上がる可能性もあるため料金が不安定になります。さらに新規で契約した際など、二部料金制であれば安い単価で固定される時期でも、その恩恵を受けられないデメリットも持っています。

また基準単価が値上げされる可能性や、そもそも高く設定されていることもあるため、必ずしも原料費調整制度が消費者にとって良いとは言い切れないでしょう。
参照:固定単価と原料費調整制度

原料調整制は、ある程度の規模を持つ企業であれば採用していることがあります。ただ小規模の企業では、毎月計算する手間があるため採用は難しいでしょう。

三部料金制

「基本料金+(従量料金×使用量)+設備などの使用料=請求額」

二部料金制にもう一段階、設備使用料などの項目が加えられたのが三部料金制です。

この設備使用料などは通常、基本料金に含まれるのですが、それを細分化して表示しています。

基本料金とは
「そもそも基本料金ってなに?」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
事業者は、契約を交わしたらガスの使用量に関わらずお客様情報をデータベース化、24時間の監視体制を整える、ボンベやメーターの設置・交換など手間が発生します。
それらの料金をできる限り細分化したのが三部料金制と捉えられます。
参照:基本料金の解説

上記以外にも計算方法は様々

根本的にプロパンガス料金は、法律による規制を受けていません。事業者がどんな計算方式を採用しても問題はありません。

つまり「上記のうちのどれかの方式にしなければならない」のではありません。

例えば使用量の多い工場などでは、基本料金が無いプランが適用されることもあります。⇒業務用のプロパンガス

消費者は計算方式を選ぶことができる

プロパンガス計算

ご存知ない方が多いかもしれませんが、実は顧客側は、どの計算方式にするのかを自分で選ぶことができます。

ただし、持ち家であることが条件となります。選択権があるのはあくまでも契約者であり、使用者ではありません。集合住宅にお住いの方などは、オーナーや管理組合が選ぶ権利を持っていることになります。

一戸建てで持ち家の方であれば、(契約中の事業者が用意していれば)ご自宅の計算方式を決めることができるのです。

ただし契約中のガス会社が複数の計算方式を採用していることが条件です。

二部料金制はわかりやすい
また二部料金制が採用されやすい理由として、簡潔でわかりやすいと同時に、顧客側へのメリットを出しやすい側面があります。
このウェブサイトに掲載している料金も、基本的には二部料金制で表記しています。固定された従量単価であれば、消費者としても現在の料金との比較がしやすいかと思います。

事業者としても「顧客の離脱を防ぐために値下げしたい時」や「どうしても値上げしなければならない時」などに臨機応変に対応することができるのです。

消費者と事業者、双方にとってメリットが大きいということで、プロパンガス業界では二部料金制が主に採用されています。