日本LPガス協会は、7月19日に常任理事会を開き、LPガス関連の業界各紙との懇談会を行いました。
LPガス業界は、家庭用料金の不透明さや適正な取引を行っていない事業者がいるなどの課題を抱えていて、それに伴い家庭用の需要が減少傾向にあります。
懇談会では、主にそれら業界が改善すべき課題について話し合われています。

既に料金透明化に関しては、業界全体で前進の兆しを見せており、国の主導によって目安となる「標準料金」をホームページや店頭などで公表する事業者が増え始めています。しかし、消費者側としては十分に透明化されている状態とは程遠く、今後のさらなる取り組みが期待されます

今回の懇談会に関しては、特に目立った目新しい取り組みなどは語られておらず、現状の課題や取り組み方法などについて再確認を行ったと見られます。

取引の適正化に関しても、業界が抱える大きな課題ではないかと考えます。このWebサイト内でも紹介していますが、LPガス業界全体に「NG会社」という慣習があり、特定の事業者同士では消費者が望んだ場合でも契約の切り替えをお互いに受け付けていない状況です。
このNG会社は、小売り事業者が「LPガスを仕入れる際、どの卸企業から仕入れているのか」や、この日本LPガス協会もそうですが「どの団体に所属しているか」などの要素によって決定されています。例えば日本LPガス協会の会長には、LPガスの輸入・卸の大手ENEOSグローブの岩井社長が就任しています。ENEOSグローブから卸供給を受けている小売り事業者同士は、すべてではありませんがNG会社である場合があります。
そのほか都道府県ごとにLPガス協会が設置されていて、加入している事業者同士では手を出さないという取り決めをしているケースもあります。わかりやすく言うと、事業者同士がグループを形成していて、お互いの顧客を奪わないという取り決めをしています。
NG会社の情報は公表されていないため消費者にはわかりません。

また、一定の団体に属している事業者間で顧客が契約を切り替える場合、顧客を獲得する側の新事業者が、旧事業者に対して1戸の顧客ごとに「一定の金額」を支払わなければならないという取り決めをしている団体もあります。関東地方などでは見られなくなっていますが、地方では未だにこのような古い慣習を一部で見ることができます。

消費者の見えないところで事業者同士が取り決めをしているとなると、適正に取引が行われているとは言い難いでしょう。

LPガス業界全体で、このような他の業界では見られない慣習が存在することによって、消費者の不信感を生み、結果的に「LPガス離れ」を加速させてしまうことに繋がっています。
少しずつでも、このような良くない慣習が無くなり、顧客が安心して自由に取引できるような環境になることを期待しましょう。