カーボンオフセットLPガスとカーボンニュートラルLPガスの違い
カーボンオフセットLPガスとカーボンニュートラルLPガスの違い

カーボンニュートラルを目指す社会に呼応して、LPガス業界では、カーボンニュートラルLPガス(CNLPG)、カーボンオフセットLPガス(COLPG)という新しいガスが誕生しました。

名称が似ていますが両者は、相殺する二酸化炭素の「範囲」が異なります。

このページでは、主にCNLPGとCOLPGの違いについて解説しています。両者は、それぞれカーボンニュートラルとカーボンオフセットの環境用語を前提としたサービスです。

CNLPGとCOLPGの相違点

カーボンニュートラルLPガスの方が相殺する二酸化炭素量が多い
カーボンニュートラルLPガスの方が相殺する二酸化炭素量が多い
カーボンニュートラルLPガス
カーボンニュートラルLPガスは、「原料の採掘から輸入される過程、各供給場所でガスが燃焼する」まで、すべての過程において排出される二酸化炭素が実質ゼロにされたLPガスです。
カーボンオフセットLPガス
カーボンオフセットLPガスは、「供給地点においてガスが使用される時」に排出される二酸化炭素が実質ゼロにされたLPガスを指しています。

カーボンニュートラルLPガスの方が実質ゼロの対象になる範囲が広いのです。

カーボンニュートラルLPガスは、採掘から使用時までのすべての二酸化炭素が実質ゼロになるので、実質的に二酸化炭素を排出しないLPガスです。

カーボンオフセットLPガスは、使用時のみの二酸化炭素が実質ゼロになるので、広い意味で捉えると完全にゼロになっている訳ではありません。

なぜCNLPGとCOLPGがあるのか

カーボンオフセットLPガスの方が導入しやすい
相殺する二酸化炭素の量が違う

なぜ2つの種類があるのか、疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。実際に名称も似ていますし、わかりづらいと感じるかもしれません。

このように2種類の脱炭素LPガスが存在するのは、主に費用面が影響していると考えられます。

CNLPGの導入がベストだが
本当の意味でカーボンニュートラルを目指すとしたら、対象範囲の広いカーボンニュートラルLPガスを導入することが望ましいでしょう。
ただカーボンニュートラルLPガスを導入するのは、費用面での負担が大きくなります。
実質ゼロにする対象が採掘の段階からはじまりますので、二酸化炭素の吸収量を増やすカーボンクレジットを購入する費用も比例して高くなります。

カーボンニュートラルLPガスを導入するのは、ガス会社側にとって費用面での負担が大きいという事情があります。また導入する費用が高くなれば、当然ながら顧客のガス料金も高く設定せざるを得ないのです。

それに比べるとカーボンオフセットLPガスの方が費用面での負担が少なく、導入しやすいという企業側のメリットがあります。

プロパンガス自体の「質」は同じ

CNLPGとCOLPGとLPGは中身が同じ
成分が変わるのではない

このウェブサイトでも解説していますが、LPガスは商品が同じものです。

顧客としては、使用するガスがCNLPGでもCOLPGでも、普通のLPガスでも使い勝手は同じなのです。

他社に切り替えられてしまうかも
比較的簡単に切り替えができる一般家庭向けのLPガスをCNLPGやCOLPGに切り替えるのは、現状ではリスクが高いと考えられるでしょう。
顧客への小売価格を値上げすれば、他社に切り替えられてしまう可能性が高くなってしまうのです。

COLPGは費用負担が少ないとはいえ、新規の顧客に適用するような料金体系で供給するのは難しいでしょう。

「カーボンニュートラルを目指すために多少料金が高いのは仕方がない」とCNLPGやCOLPGの使用に理解を示している顧客でなければ、ガス会社としては導入が難しいという事情があるのです。

現状では、CNLPGやCOLPGを導入しているプロパンガス事業者は、主に法人の顧客に向けて供給しています。つまり環境問題に取り組む姿勢に理解を示している業務用顧客に対して販売しているのです。

プロパンガス業界は料金競争が激しいため、CNLPGやCOLPGが一般家庭にまで供給されるには、もう少し年月がかかるかもしれません。