プロパンガスは自由料金制で、輸入原料の価格変動(CPなど)の影響を受けやすい燃料です。そんな中、海外からの輸入に依存しているLPガスの一部を、国内の地域資源から作ろうという研究開発が進んでいることをご存知でしょうか。
古河電気工業が、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受けて取り組む「グリーンLPガス」の開発について紹介します。
そもそも「グリーンLPガス」とは?
古河電気工業は、2022年4月にNEDOの「グリーンイノベーション基金事業」に採択され、北海道大学・静岡大学と連携して「革新的触媒・プロセスによるグリーンLPガス合成技術の開発・実証」に取り組んでいます。(採択当時の内容は以前の記事でも紹介しています)
石油や天然ガスといった化石燃料を輸入するのではなく、二酸化炭素とメタンを原料に、独自の触媒技術でLPガス(プロパン・ブタン)を合成しようという技術です。

原料はどこから?酪農の町・鹿追町での実証
原料となるメタンの供給源としては、家畜のふん尿や生ゴミなどの有機性廃棄物から作られる「バイオガス」の活用が想定されています。2024年8月には、酪農が盛んな北海道河東郡鹿追町で、ベンチスケール(小規模)の実証設備の起工式が行われました。この実証プラントでは、同町の環境保全センターで製造される、牛のふん尿由来のバイオガスを原料に使うことが特徴です。
つまり、地域で発生する廃棄物由来のバイオガスを原料にして、地域で利用できるLPガスを作る「地産地消」の仕組みを目指しているということです。

鍵を握る独自技術「ラムネ触媒®」
この技術のポイントは、古河電気工業が開発した独自の「ラムネ触媒®」です。二酸化炭素とメタンを反応させる「ドライリフォーミング反応」では、通常、触媒の劣化(凝集やコーキング)が課題になりますが、この独自触媒によって100日以上の耐久性を確認したとされています。
目標と、2026年度からの実証プラント稼働
古河電気工業が掲げる目標は、LPガスの生成率50C-mol%以上のグリーンLPガス合成技術を確立し、2030年に年間1,000トンのグリーンLPガスを製造する技術の実証を完了することです。
現在は技術実証の段階ですが、北海道鹿追町の実証プラントでは2026年度中の稼働開始が予定されており、2026年度内に100〜200トン程度のグリーンLPガス製造が見込まれています。家庭で使われるLPガスがすぐにグリーンLPガスへ置き換わるわけではなく、今後は実証を通じて技術の確立やコスト面、供給体制などを検証していく段階です。

流通パートナーとの連携
国内では、LPガスの元売り事業者である岩谷産業とアストモスエネルギーが、流通パートナーとしてこの実証に参画しています。また2023年には、古河電気工業・アストモスエネルギー・SHV Energy(オランダ)の3社で、グリーンLPガスの原料多様化に向けた新技術の共同開発契約(JDA)を締結するなど、取り組みは海外にも広がっています。
なぜ「地産地消」が目指されるのか
LPガスは、国内全世帯の約4割に供給されている生活に欠かせないエネルギーですが、その多くを海外からの輸入に頼っています。地域の資源を活用してLPガスを製造できれば、安定供給や2050年カーボンニュートラルの実現にもつながることが期待されています。
まとめ
- 古河電気工業がNEDOの支援を受け、北海道大学・静岡大学と「グリーンLPガス」の合成技術を開発中
- 原料は二酸化炭素とメタンで、メタンの供給源として家畜ふん尿等由来のバイオガス活用が想定されている
- 独自の「ラムネ触媒®」により、化学反応での触媒劣化を抑制
- 北海道鹿追町の実証プラントは2026年度中に稼働開始予定で、同年度内に100〜200トン程度の製造を見込む
- 2030年に年間1,000トンの製造技術実証完了が目標(商用化はさらに先の段階)
- 国内では岩谷産業・アストモスエネルギーが流通パートナーとして参画、海外ともSHV Energyとの提携が進む
- 輸入依存からの脱却と、脱炭素社会の実現が背景にある
プロパンガスの未来を考えるうえで、こうした技術開発の動きも今後注目していきたいところです。
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