「お客さまの個人情報が漏えいした可能性があります」。ある日、ガス会社からこんなお知らせが届いたら、驚いてしまいますよね。
2026年10月には、ノーコードのWebサイト制作サービス「Studio」への不正アクセスにより、多くの企業や自治体の問い合わせフォームの内容が漏えいした可能性があると、相次いで公表されました。また、ガスの業界でも、2026年9月から10月にかけて、複数のガス会社が、システム関連業務の委託先へのランサムウェア攻撃により、顧客情報が漏えいした可能性を公表しています。
なお、当サイトのお問い合わせフォームは、「Studio」を使用していません。
この記事では、ガス会社から漏えいの通知が届いたときに、落ち着いて確認したい5つのことを整理します。
まず知っておきたいこと:通知が届いても、慌てなくて大丈夫です
漏えいの「可能性」という通知は、実際に悪用されたことを意味するわけではありません。また、個人情報が漏えいした場合でも、すべてのケースで、国への報告やお客さまへの通知が、法律で義務づけられているわけではありません。
要配慮個人情報が含まれる場合、クレジットカード番号など財産的な被害が生じるおそれがある場合、不正の目的で行われたおそれがある場合、影響を受ける人が1,000人を超える場合など、一定の要件に当たると、事業者は、個人情報保護委員会への報告と、本人への通知を行う必要があります。本人への通知は、事態の状況に応じて速やかに、概要、漏えいした項目、原因などを、郵送や電子メールなど、分かりやすい方法で行います。
国への報告は、まず発覚から3〜5日以内を目安に速報を行い、原則30日以内に確報を行います。ただし、不正の目的で行われたおそれがある場合は、確報の期限は60日以内です(個人情報保護委員会)。
通知が届いたときは、次の5つを、順番に確認してみましょう。

① その通知は、本物ですか?
漏えいが公表されると、その企業を装った偽のメールやSMSが、あわせて出回ることがあります。フィッシング対策協議会によると、2026年9月のフィッシング報告は94,661件で、前月より約15.0%増えました。9月は情報漏えいの公表が相次いでおり、漏えいした情報が、フィッシングや詐欺に使われるおそれがあると、注意が呼びかけられています。氏名が書かれたフィッシングメールも確認されていますが、個別の漏えいとの関連は、わかっていません。
実際の通知が、郵送やメールで届くこともあります。届いたメールやSMSの、リンクや電話番号は使わずに、次の方法で、本物かどうかを確認しましょう。
- ガス会社の公式サイト(ブックマークや、検針票・請求書に載っているもの)を、ご自身で開いて、同じお知らせがあるか確認する
- 問い合わせるときは、通知に書かれた番号ではなく、公式サイトや検針票に載っている窓口にかける
- お詫びや補償をうたって、カード番号や暗証番号、口座情報の入力を求める連絡は、偽物を疑う
② どんな情報が、漏えいした可能性がありますか?
情報処理推進機構(IPA)は、まず、どの情報が漏えいしたかを確認するよう呼びかけています。確認は、サービス提供者からの連絡の内容、公式サイトの案内、サポート窓口への問い合わせで行います。
ガス会社は、お客さまの氏名、住所、電話番号、使用量などを管理しています。支払い方法によっては、口座やクレジットカードの情報もあります。通知には、漏えいした可能性のある項目が書かれているはずです。
③ 漏れた情報に応じて、対応を決めましょう
IPAは、情報の種類ごとに、次の対処を紹介しています。
- ID・パスワード:漏えいしたサービスのパスワードを、公式のサイトやアプリから変更する。長く複雑なものにして、ほかのサービスで同じパスワードを使っている場合は、そちらも変更する
- クレジットカード情報:カード会社に連絡して、不正利用がないか確認し、利用停止や再発行を相談する。当面は、利用明細を定期的に確認する
- 氏名・住所・電話番号・メールアドレス:リスト化されて、詐欺に悪用される可能性がある。偽のメールやSMS、詐欺の電話、不審な郵便物に注意する
- 運転免許証などの本人確認書類:なりすましによる契約に悪用されるおそれがある。信用情報機関(JICC、CIC、KSC)に、漏えいの事実を本人申告することが、不正利用の抑止に役立つ

④ 「ガス会社を名乗る連絡」に、注意しましょう
ガス会社が保有する、氏名・住所・電話番号・使用量などは、ガス会社を名乗って近づくために使われるおそれがあります。IPAは、突然届くメールやSMSは基本的に詐欺と考えて、無視して削除し、リンクをクリックしたり、URLから情報を入力したりしないよう呼びかけています。画像に埋め込まれたリンクにも、注意が必要です。ただし、ガス会社からの正規の通知が、メールや郵送で届くこともあります。内容を確認したいときは、メールのリンクではなく、公式サイトをご自身で開くか、検針票などにある公式の窓口に問い合わせましょう。
ガスの契約では、次のような連絡にも、注意してください。
- 「料金が変わるので、手続きが必要」「契約内容を確認したい」と、電話やメールで急がせる
- 「ガス機器の点検に来ました」と、突然訪ねてくる(訪問販売の手口と見分け方はこちら)
- 名前や住所を言い当てているからといって、本物とは限りません
少しでも不安に感じたら、その場で答えたり、手続きしたりせず、一度電話を切って、公式サイトや検針票にある窓口に、かけ直しましょう。
⑤ 困ったときの相談先
次の窓口で、相談できます(首相官邸の案内より)。
- 消費生活センター(188):個人情報の流出に遭った方や、心配のある方は、まずこちら
- 警察相談専用電話(#9110):情報流出に関わる、犯罪被害の心配について
- 日本クレジット協会 クレジットに関する消費者相談窓口(03-5645-3361):クレジットカード情報の流出の心配について
- 個人情報保護委員会 個人情報保護法相談ダイヤル(03-6457-9849):企業などの個人情報の取扱いについて
- IPA 情報セキュリティ安心相談窓口(03-5978-7509):パソコンやスマートフォンの不正アクセス・ウイルス感染の心配について

日頃からできる対策
- パスワードは、長く複雑にして、使い回さない
- 多要素認証やパスキーが使えるサービスでは、設定する
- 個人情報の登録は必要最小限にして、使わなくなったアカウントは削除する
- メールやSMSのリンクからではなく、公式サイトやアプリから手続きする
まとめ
- 漏えいの「可能性」の通知が届いても、慌てず、まず通知が本物か確認する(リンクや番号を使わず、公式サイトや検針票の窓口で確認)
- どの情報が漏えいした可能性があるかを確認し、種類に応じて、パスワードの変更、カード会社への連絡などを行う
- 氏名・住所・電話番号は、詐欺に悪用されるおそれがある。ガス会社を名乗る連絡は、その場で答えず、公式の窓口でかけ直す
- 困ったときは、消費生活センター(188)や警察相談専用電話(#9110)などに相談する
出典:個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」「漏えい等報告・本人への通知の義務化について」、情報処理推進機構(IPA)「自分の個人情報等が漏えいした際の『対処』と『日頃の対策』」(2026年10月26日)、フィッシング対策協議会「2026年9月 フィッシング報告状況」、首相官邸「個人情報流出の被害に遭われた方・ご心配のある方」
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