神奈川県LPガス協会は6月25日、東京地方裁判所に公正取引委員会からの排除措置命令の取り消しを求める訴状を提出し受理されました。
公正取引委員会は今年3月9日、神奈川県LPガス協会がLPガス事業者の新規入会を拒否したとして、同協会に対し独占禁止法第8条第3号の規定に基づく排除措置命令を出していました。

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公正取引委員会による違反行為の概要

公正取引委員会の排除措置命令によると、概要は以下の通りです。

・神奈川県内でLPガス事業を行うためには、損害賠償責任保険への契約が必須
・損害賠償責任保険の加入は、「神奈川県LPガス協会へ加入する」以外の方法では一般的には困難
・神奈川県LPガス協会は、2014年10月から2016年10月までの2年間、同協会へ入会希望したA社の申込みを5回にわたり拒否
・拒否理由は、「A社が他社からの切り替え営業を行う事業者である」ということ
・公正取引委員会は、神奈川県LPガス協会が意図的に「切り替え営業を行う事業者」の入会を拒否し、独占禁止法に違反したと判断

つまり協会は、「切り替え営業を行うガス会社」を意図的に入会させず、事業者数を制限すると同時に、自由競争を阻害したと判断されました。

上記の流れで排除措置命令が下され、神奈川県LPガス協会は今回、この命令の取り消しを求める訴訟を起こしたことになります。
同協会が主張すると見られる点は以下の2つ。

・協会はこれまでも現在も、切り替え営業自体を否定したことはない。当協会は一貫して消費者に不利益を与える不適正な切り替え営業を否定してきた。公益社団法人としての公益に資する目的に反するため。

・協会団体保険について、当協会は当該保険の1代理店に過ぎず、非会員への新規加入契約を行う立場にはない。

これまでLPガス業界では、他社の顧客を奪う営業活動はタブー視される傾向があり、地方都市においては現在でも切り替えが難しいという状況が続いています。しかし、社会の情報化とともにこの流れは無くなりつつあります。実際に神奈川県内を含め関東圏内では、すでに切り替え営業は頻繁に行われている状況で、神奈川で切り替えが行われていないということは一切ありません。特定の一社を締め出したとしても、大勢に影響は無いと考えることもできるでしょう。
しかし仮にA社が強引な営業を行う事業者であり、消費者の利益を損なう可能性があったとしても、他にも強引な営業を行う事業者は複数あります。この事業者のみを締め出す理由としては不十分とも考えられます。また実際にガス会社と契約するのは消費者であり、それ以前の段階で協会が入会を拒否してしまうのは不公平であるという見方もあります。

一般的には排除措置命令の取り消しは難しいと考えられていますが、どのような結論が出されるのか注目されます。

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